主要人物
虎杖 悠仁(いたどり ゆうじ)
声 – 榎木淳弥[8][9][10]
本作の主人公。都立呪術高専1年生。宮城県仙台市出身。3月20日生まれ。常人離れした身体能力の持ち主[注 1]。元々は非術師であったが、宿儺の指を口にしたことで呪力を手にし、五条の計らいによって都立呪術高専への入学した[11]。宿儺の指の影響により、両目尻の下には開眼したもう一対の目の名残りの溝がある。
快活・素直な性格で、誰に対してもフレンドリーに接している。また、祖父の遺言の影響で「正しい死」に強いこだわりがあり、常に仲間や一般人をはじめとする目の前の人間を手の届く範囲で出来る限り救おうと心がけている[11]。
身体能力の高さを生かした肉弾戦をメインに、「逕庭拳」という殴打を習得する。初期は呪力をうまくコントロール出来ていなかったが、交流会での東堂の指導により上達し、黒閃を経験した。黒閃1日5回記録。また、毒の耐性も非常に高く、元来猛毒である宿儺の指を食しても死亡せず、宿儺が受肉した後も自我を保った上で宿儺を抑え込むことができており、故に宿儺の封印から1000年間生まれなかったとされる「宿儺の器(すくなのうつわ)」となった。このことにより、他の指を探すレーダーの役割を持っているが、宿儺の性格故に都合よく機能していない。また、常に宿儺の魂を宿していることから、自然に魂の輪郭を捉えることができ、術式無しで真人に直接ダメージを与えることができる。加えて、宿儺の魂によって真人の「無為転変」の影響を完全に受けない。なお、体に生得術式は刻まれていないが、五条曰くそのうち宿儺の術式が刻まれるらしい。
また、これとは別に虎杖と対戦した相手の脳内に「過去に虎杖と何らかの良好的な関係を持っていた」という主旨の偽りの記憶を与える現象が生じている[12]が、これは虎杖自身の能力ではない事が作者から語られている。
両親はおらず(生死・行方ともに不明)、祖父に育てられた。両親についての記憶は特にないらしく、祖父から話を切り出された際も一切の興味を示さなかった。
逕庭拳
呪力を纏わせた拳で相手を殴り、その直後に呪力がぶつかることで、一度の打撃で二度の衝撃を与える技。
これは呪力のコントロールが未熟なうえ、素の力が人間離れしているせいで瞬発力に呪力が追い付けないことで生まれた悪癖。
呪力を留める技術も未熟な影響で軌跡に残り、変則的な流れが生まれることで呪力の流れを読まれにくい。
五条や七海はそれなりに評価しているが、交流会の際に東堂から「特級には通じない」と指摘された。
黒閃を経験した後はコントロールの向上と引き換えに使用できなくなった。
伏黒 恵(ふしぐろ めぐみ)
声 – 内田雄馬[8][9]
都立呪術の高専1年生で、虎杖の同級生に当たる2級呪術師[13]。12月22日生まれ。甚爾の息子であり、恵という名前は父から付けられた。御三家・禪院家の血筋であり、その分家出身と見なされている。実の両親は共に亡くなっており、小学1年時から1つ年上の義姉・津美紀と共に暮らしている。さいたま市立浦見東中学校を卒業した後、都立呪術高専に入学した。また、担任である五条とは入学前からの知り合い。
任務で杉沢第三高校の百葉箱に保管されていた宿儺の指の捜索に来た際に虎杖と出会う。虎杖が両面宿儺の指を呑み込んだ際、一度は虎杖を「呪い」として祓おうとするものの、五条に虎杖の処遇を尋ねられた際には、虎杖を救うよう懇願している。反面、無免許運転で子供を撥ねるなどの罪を犯した少年院在院者に対しては「ただでさえ助ける気のない人間を死体になってまで救う気は無い」と発言するなど、自らの善悪の価値判断を重視している。
中学生の時は荒れていたが、津美紀が呪いで寝たきりになったことにより、不平等な現実のみが平等に与えられ、幸せになるべき善人が報われないことに疑問を抱き、少しでも多くの善人が平等を享受できるように不平等に人を助けるために呪術師となった[14]。上記の出来事があり、好みのタイプとして、津美紀のように「揺るがない人間性」を持つ女性を挙げている。
使用する術式は、自身の影を媒介とした十種の式神術「十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)」であり、御三家・禪院家相伝の術式の一つでもある[13]。手で作った影絵を実体化させる形で、式神を呼び出す。並の式神より強力で、完全に破壊されると二度と顕現できないが、破壊された式神の遺した術式と力は他の式神に引き継がれる。基本的に一度に二種類顕現されることができ、拡張術式によって二つの式神を合体させることも可能。また、影を呪力の媒介にする特性を利用して、自身の影に呪具を収納させることも可能。式神を用いた遠距離攻撃が主流の戦闘スタイルで、複数の式神を連携させる等、攻撃の用途が広い。ただし、近接戦闘は苦手で、影絵のために両手を空けておく必要もあり、呪具も使い慣れていなかったが、交流会前の真希との練習で呪具を使い慣れてきた。交流会直前にあらゆる呪具を自身の影の中から出し入れ可能なことがわかり、真希の呪具も運搬している。「奥の手」として、八握剣異戒神将魔虚羅という式神を有している。
応用力のある術式や宿儺さえも警戒させる術を持っているが、それらを十分に使いこなせていないようで、宿儺には「宝の持ち腐れ」と評されている。五条には、「奥の手」を出して最悪自分が死ねば全て解決出来ると思っているから本気の出し方を出来ていないと指摘される。その後、埼玉の八十八橋での仮想特級呪霊との戦いで本気を出し、不完全ながら領域展開を取得し、仮想特級呪霊を倒した。
渋谷事変では、敵の降霊術によってよみがえった伏黒甚爾と再会するが、父親であることに気づかなかった。その後、満身創痍の状態にあったところを重面春太に襲われ、「奥の手」である八握剣異戒神将魔虚羅を出現させ、駆け付けてきた宿儺によって救出された。
好きな食べ物は生姜に合うもの(生姜そのものではないらしい)。嫌いな食べ物はパプリカ。実話系の本を読むことが多い。部屋着はとにかく楽なものを選ぶ。
「玉犬(ぎょくけん)」
犬の式神[13]。2体存在する。
白(しろ)
真っ白な犬の式神。額には道返玉の紋様がある。嗅覚による呪力の探知機能があり戦闘も可能[13]。
英集少年院の任務中に、少年院の特級呪霊によって完全に破壊された。
黒(くろ)
真っ黒な犬の式神。額には足玉の紋様がある。能力は「白」と同等で、よく二体同時に呼び出される。
渾(こん)
破壊された「白」の術式と力を「黒」が引き継ぐことで生まれた式神。体の一部が白い巨大な黒犬。額には二種の紋様がある。特級呪霊・花御に傷をつけ、不意打ちとはいえ八十八橋の特級呪霊を一撃で祓う攻撃力を持つ。
「鵺(ぬえ)」
頭半分を覆う骸骨の面をつけた怪鳥の式神。飛行能力があり[13]、移動手段として利用するほか、帯電した呪力をまとって体当たりを行うこともできる。対象との狭い間に現すことで防壁にすることも可能。
「大蛇(オロチ)」
巨大な蛇の式神。額に生玉の紋様がある。少年院で宿儺を一瞬だけ拘束したが、彼に完全破壊された。
「蝦蟇(がま)」
大きな蛙の式神。腹部には沖津鏡の紋様がある。長い舌を伸ばすことで遠くにいる仲間を救助したり、敵を拘束したりできる。
「不知井底(せいていしらず)」
「鵺」と「蝦蟇」を合体させた拡張術式であり、羽の生えた「蝦蟇」を数体呼び出す。通常の式神と違い、完全に破壊されても再度顕現できる。
「満象(ばんしょう)」
象の式神。額には辺津鏡の紋様がある。重量による踏みつけや、鼻からの高圧放水を武器とする[13]。ただし、呪力の消費が激しいため単体でしか顕現できない。また、水を具現するために使う呪力を「満象」そのものに使い、巨大化させることも出来る。
「脱兎(だっと)」
兎の式神。数十匹の群れで顕現される。攻撃には向いていないが、敵を囲うことができる。
「嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)」
伏黒の生得領域。ただしまだ不完全。
領域内を液状の影で覆い、その影から式神が多数出現して相手を攻撃をする[13]。自身の分身も作れる。相手の攻撃に対しては、自ら影の中に入り避ける。
「八握剣異戒神将魔虚羅(やつかのつるぎいかいしんしょうまこら)」
歴代十種影法術師の中で、誰ひとり調伏できていない最強の式神であり、伏黒の奥の手である。
両手を前に出し、布瑠部由良由良(ふるべゆらゆら)と唱えることで呼び出せる。
後ろに法陣がついており、1回の攻撃で法陣を切り離し仕留めないかぎり、後ろの法陣が回ると9回治癒し、戦闘相手にとって相性の悪い特性に変化する。対呪霊に特化した退魔の剣「八握剣」を装備している。背部の法陣を回転させるたびに、回復とそれまでに喰らった攻撃への耐性が付与され、よりダメージが通りやすい攻撃タイプにチェンジする能力を持つ。出した本人は、八握剣異戒神将魔虚羅に最初に殴られるので、仮死状態になる。呼び出した時点で対象範囲内に存在する術師が式神を倒せたら調伏完了。
釘崎 野薔薇(くぎさき のばら)
声 – 瀬戸麻沙美
都立呪術高専1年生。3級呪術師。本人曰く「盛岡まで4時間かかるクソ田舎」出身。
身長は160センチメートルないくらい。8月7日生まれ。
虎杖と同時期に呪術高専に入学したが、入学自体は以前から決まっていた。東京(都会)に対しての強い憧れを持つ一方で、彼女が小学校1年生の時に東京からの転校生である沙織ちゃんが村人たちの僻みによって追い出されたため、自身の故郷である田舎を嫌っている。
非常にサバサバした気性の持ち主で、口が悪く[15]、素人であるにも関わらず「呪いは危ない」と忠告してきた虎杖を蹴り飛ばすなど手が出るのも早い。一方で、呪霊に人質に取られた少年を助けるため自ら武器を捨てて丸腰になる、罪人である少年院の在院者を当然のように助けようとするなどの優しさも見せる。自らのアイデンティティーを強くもっており、丸腰の状態で真依に背後を取られていても平然と喧嘩を売るほど度胸がある。
自身の呪力を篭めた釘を打ち込んで相手を攻撃する術式「芻霊呪法(すうれいじゅほう)」の使い手であり、対象から欠損した一部に釘を打ち込むことで対象本体にダメージを与える「共鳴り」(ともなり)や、対象に直接打ち込んで破壊する「簪(かんざし)」などを駆使する。武器として、五寸釘・金槌(交流会ではピコピコハンマー)、時折藁人形を使用する。
五条 悟(ごじょう さとる)
声 – 中村悠一
都立呪術高専の1年生のクラスを受け持つ特級呪術師で、自他ともに認める最強の呪術師である[20]。1989年12月7日生まれの28歳。御三家・五条家の出身であり、憂太とは非常に遠い親戚に当たる。
細身の白髪の男性で、端正な顔を持つ。六眼(りくがん)と呼ばれる特殊な目を持ち、初見の術式情報の視認や、緻密な呪力操作を可能とする。これに関連し、戦闘時以外は常に布やサングラスで目隠しをしているが、周囲は見えている。
御三家・五条家相伝の術式「無下限呪術(むかげんじゅじゅつ)」の使い手であり、「無限」を現実に作り出し、周囲の空間にある物体間の距離を自在に操る。
五条が力を最大限発揮するのは「1人でいるとき」であり、常に周りの人間を自身の攻撃に巻き込まないように気を配っており、必要時に巻き込む際もその被害を最小限に抑えようと心がける。ただし、「呪霊による被害」は「ある程度の犠牲」として割り切る冷酷さも兼ね備えている[22]。
呪術師として強大な存在であるがゆえに五条家は彼のワンマンチーム状態であり、高専内でも強い発言力を持つ。また、虎杖をはじめとする彼の融通(ワガママ)で救われた術師や、パワーバランスによって活動を制限された呪詛師・呪霊が数多く存在する。
そのため、彼の封印は、大量の術師の抹消によって内輪が混乱状態にある高専とパワーバランスの崩壊後に活動を始めた数多の呪詛師・呪霊との戦争を意味し、その敗北によって日本国内の人間が殲滅される危険がある。
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